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Patterns
「春の聲が君を呼ぶ」
フェスリア
フェスリア狂想曲第6楽章「ホシサガスモノ」
Original
3.27.2023
…この季節になると、毎年同じ夢を見る。
その夢でいつも僕は、大樹の根元で眠りについていて、心地よさと共に目を覚ます。
ゆっくりと体を起こせば、上からひらひらと何かが舞い落ちる─、花びらだ。
それは大樹から、遠くの木々から、 風に吹かれて吹雪のようにふわりふわりと舞っていく。
花びらは雪のように軽く、星のように煌めいては、淡い蒼に溶けて消えた。
大樹に咲くものと同じ花が僕の角にもたくさん咲いている。
何の花かはわからない。
でも、僕はこの花が、ほんの僅かな間しか咲かない事を知っている。
嗚呼、今年も聲が聞こえる。
春を告げる、花々の儚い歌聲が─。
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